体育祭の練習で酸欠になった話
10年前の話。
中3の9月初旬。
大半の3年生は夏休み中に部活を引退し、受験に舵を切り始める季節。
体育祭の練習が本格的に始まっていた。
その日は朝から体育祭の練習。
うだるような暑さ。
身体が鈍っている同級生も多く、
「練習ダルいなー」って空気が漂っていた。
リレーの練習。
チンタラ走る同級生たち。
「こんなの適当に流そうぜ。はい、バトン」
全力で走る人はいなかった。
自分の番。
全力で走った。キモいくらいに。
鈍った身体や、周りの空気に構うことなく。
直後、身体がふらふらした。
立っていられず、近くの病院へ。
酸欠だった。
カッコ悪すぎる。
初めて、点滴を打った。
復活して午後から学校へ。
担任が「無理するな」と心配してくれたが、午後も練習に参加した。
もちろん、全力で。
当時は、青かった。
チンタラ走っていたクラスメートは、全力で走って酸欠になった自分のことをどう思っていたのだろうか・・・。
朝井リョウ著『何者』を読んだ。
終盤、ぐいぐい引き込まれた。
冷静に周りを分析して悦に入るではなく、痛くても、カッコ悪くても、もがく。
酸欠になりながら全力で走った当時の自分を肯定しようと思った。